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執筆者の写真hbrackin

垢抜けたインテリアに欠かせない「ネガティブスペース」と「ポジティブスペース」

「海外風のインテリアのコツは?」とよく聞かれます。建物の雰囲気や壁や床などの色や素材感、家具や照明、カーテンのようなインテリアエレメンツ一つひとつももちろん大切ですが、空間の使い方も注目したいポイントです。家具をどのように配置するか、動線や使い方も大きく関わりますが、もう一つ重要と考えるのがネガティブスペースとポジティブスペースです。



ネガティブとポジティブ?


ネガティブ=マイナス、ということではありません。

インテリアの中でのネガティブスペースとは、実はプラスになる要素でもあります。


つまり「余白」のことです。


最近、よく耳にしたり読みますよね。写真を撮る時や、棚のディスプレイを美しく仕上げる時などに大切な余白のこと。


インテリアでも同じく、余白とは落ち着いた、垢抜けた空間には欠かせない要素です。


英語でそれをネガティブスペースと言います。


そして、ネガティブがあればもちろん、ポジティブがあります。


ポジティブスペースとは余白の反対のことで、実際に置いてある「物」が占める空間です。インテリアで言えば、家具やラグ、様々なインテリアアイテムのこと。


ついつい「余白をなるべく多く」と考えがちです。

もちろん家具などで部屋をぎゅうぎゅうに詰めてしまえば狭く感じますし、圧迫感もあり、居心地も悪くなることもあります。


でも反対に、余白がありすぎるとちょっと寂しかったり、余白そのものが圧迫感をつくり出してしまうことも。


大切なのはネガティブとポジティブのバランスです。


部屋を広く見せるために家具をなるべく壁に寄せ、部屋の真ん中の床がたくさん見えるように、と考えることありませんか?余白が広いほど部屋が広く見えるのが一般的な考えです。「広く見せたいからなるべくものは置かない」ともよく耳にしますが、快適な暮らしのために必要最低限なものは置きたいですし、必ずしも置かない=広く見える、とは限りません。


海外のインテリアを見ますと、ものはしっかり置いています。ただ、その置き方が心地よさと見た目の美しさに関係しています。ポジティブスペースとネガティブスペースの上手な使い方から生み出されているのです。


余白とは広さだけではなく、配置が大切です。

配置とは、家具の置き方だけではありません。

余白の配置も意識するとよりバランスの良い空間へと繋がっていきます。


大切なのはどちらも偏りすぎないことです。

こちらは我が家のリビングダイニングの平面図です。グレーが家具を表します。


テーブルと食器棚をキッチンカウンターに寄せ、ソファの前には何も置かない状態を描いてみました。確かに真ん中のスペースの床がたくさん見え、これだったら部屋も広く、すっきり見えると思いますよね。


でも、ポジティブスペースとネガティブスペースがそれぞれ、偏りすぎるように見えませんか?真ん中の空間に圧迫感も出ています。ここで子供が遊んだり、毎日ヨガをするなど、真ん中の空間に意味を持たせるのであれば話は別ですが、ただの空白だと勿体無いような気がします。


実際にこの広く空いた空間の真ん中に立ち、周りを見ると壁沿いがゴタゴタに感じることもあります。キッチンのカウンターがある壁周りにものが集中しすぎ、うるさく見えたり、ソファと本棚がある一面がフラットに見えたり。はっきりとしたフォーカルポイントも実はつくりにくい状態でもあります。

こちらが実際の部屋のレイアウトです。

テーブルをカウンターから離すことでテーブル周りにぐるりと一周ネガティブスペースができ、軽さと空気の流れが感じられます。この抜け感ができることで部屋が広く見えたり、ゆとりも感じられます。


食器棚も同様、カウンターとの間にスペースができました。そのおかげで食器棚が映え、自然と部屋のフォーカルポイントが出来上がります。

平面の余白だけではなく、家具を壁から離すことで壁の見える面積も増えます。部屋を広く見せる「余白」とは床面だけではなく、実は立体、つまり壁の見え方でも大きく影響してきます。壁がすっきりしていればそれだけ部屋も広く感じるのです。

その壁をまた、クロスや塗装などでアクセントとして楽しむ余裕もでき、嬉しい効果満載です。


平面図に戻りますが、リビング側ではソファ前にはテーブルが置いてあります。そして簡単に移動ができる軽めのアームチェアを、動きが感じられるように斜めの角度で置いています。私自身、自宅でヨガの練習をすることがあるため、アームチェアをその時に端へ寄せれば十分にスペースができます。


家具は増えていますが、ネガティブスペースもしっかりと残しています。ポジティブとネガティブスペースが入り混じっているよう、部屋全体に分散されているのが大きな違いです。


また、家具の配置によってくつろぎのスペースであるリビングが一つのエリアとしてまとまりました。フラットだった一列に並んでいるソファと横の本棚の一面が、アームチェアやテーブルの存在によって空間全体に立体感が見られるように。まさに海外のインテリアで見られる「コージー」な雰囲気をつくりあげるまとまり感です。


グレーのポジティブスペースが程よく空間を埋めながら、ネガティブスペースの床部分が満遍なく部屋全体に広がるようになりました。


余白の形や流れを考えながら、ポジティブとネガティブをバランスよく、そして関係性を持たせるのが心地さのポイントです。


バランスの良いネガティブスペースは、ポジティブスペースを支えてくれます。余白があるからこそものが映えると言われているのと同じことです。家具や物同士の関係性、人や空気の流れ、何もない空間とのバランスを考えながら配置を考えるとより垢抜けた、レベルアップしたインテリアへと繋がっていくことでしょう。



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